耳垢栓塞は耳垢が耳の中に詰まっている状態です
耳垢がたくさんたまって栓のようになっている場合は、耳垢栓塞といって、一時的に耳栓をしているようなものですから、聞こえが悪くなります。
もし仮に両耳が耳垢栓塞の状態で変わらず数年間過ごしてきたなら、聞こえないために、脳へのことばのインプットがなくて、ことばの発達が遅れるかもしれません。
しかし、実際は、人間の耳には耳垢を自然に排出する力がありますので、お子さんが両耳に耳垢を詰まらせて聞こえないまま数年間を過ごすことは考えにくいです。
もし聞こえが悪くて、ことばが遅れているならば、長年続いている中耳炎や聞こえの神経自体が元から弱いことなど、耳垢以外の原因が考えられます。
だからと言って、耳垢を完全に放置しておいてよいわけではありません。
お子さんのことばの発達には、「よく聞こえていること」が大切ですので、診察では耳の中に耳垢をため込んではいないかをきちんと確認し、必要に応じて耳垢をとります。
耳垢がとても硬い場合は、1回目の診察では取りきれないこともあります。硬い耳垢を無理に取ろうとすると、痛くて危いので、安全を考慮して、初回は無理には取らず、お家で耳垢をふやかす水薬を耳の中に数日間連続で入れてから、あらためてクリニックで耳垢を取ることもあります。
耳垢栓塞の治療について
耳垢は、自然に出てくることも多いですし、外界の刺激から耳を守る役割もありますので、耳垢がたまっていることを過剰に心配する必要はありませんが、心配ならば近くの耳鼻咽喉科クリニックを受診しましょう。
取ったほうがよい耳垢なのか、そのまま置いておいてよい耳垢なのかを専門の先生に見極めてもらうと安心です。
また、耳の中は、案外すぐそこに鼓膜があります。お家での耳垢取りは、鼓膜を突き刺してしまう危険性がありますので、お薦めできません。
最近、「耳垢が気になる」という人は、耳の他の病気が隠れていないかも含めて耳鼻咽喉科クリニックを受診しましょう。